稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「皆の者に、一つ知らせがある。戦争を勝利に導いたシェミリオールの褒賞として一つ願いをかなえる約束をしていたのだ」
 願い?
 ざわざわと、会場の者たちが一体殿下の願いとは何なのかと噂を始める。
「どうやら、シェミリオールには、皇太子の位を捨ててでも一緒になりたいと思う女性がいたようなのだ」
 え?
 陛下の言葉に、不安が渦巻く。
 一緒になりたい女性?そんなの、エミリーにいるわけがない。いたとしたら……。婚約しましょうって言われた私のこと?
 私のために、エミリーは皇太子の位を降りようとしていたの?
 ああ、違う、違う、違う!そうじゃない。
 もしそうなら、私は皇太子妃にだってなんだってなる覚悟を決めたってエミリーに伝えるわ。
 女性の心を持ちながらもそれを隠して皇太子としてふるまい続けることが辛いんだよね?
 言っていたもの。エミリー……家は、弟に継いでもらえばいいって。親がそれを許してくれないって。
 ……だから、戦争に行ったんだよね?皇太子の地位を返上してもらおうと思って……。
 そうなんだよね?
 私のために……どこの誰とも、その時は分からなかった私のために……もしかしたら下級貴族、男爵令嬢かもしれないと思っていた?
 だから、私に苦労させないようにと皇太子の地位を降りよとしたんじゃないよね?男性アレルギーがある私のことを気遣って皇太子の地位を降りようとしたんじゃないよね?
 私が、エミリーの運命を覆しちゃったんじゃないよね?
 私が……私が、エミリーを……戦地に向かわせてしまったの?

 ガタガタと恐怖で足が震えだす。
 戦争で死んだらだらどうしようと……。心配していた日々を思い出す。
 さらわれたと言う話を思い出す。一歩間違えれば無事ではなかったかもしれない。
 その原因を作ってしまったのは私なの?
 私……。
 エミリーにとって、私は……。