稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 ローレル様には婚約者がいないので、エスコートしているのは私と一緒でお兄様かしらね?
「そろそろ、上位貴族の挨拶が終わりそうだ。あと2組だな。その後、音楽が流れるだろうが、踊るかい?」
 お兄様が尋ねた。
 ダンス……か。お兄様とは手をつなぐと少しだけアレルギーが出る。
「やめておきますわ」
 小さく首を振る。
「リリーシャンヌ、他はどうする?誘いが次から次へと来るだろうが。話をしてみてからアレルギーが出ない相手がいるか確認して受けるかい?そうじゃなければ、足を痛めているとか私が全部断るよ」
 お兄様が、今日はずっとそばにいてくれる。うれしい。

「ありがとうお兄様。……全部、お断りして……あ」
 全部じゃない。
 一人だけ。
 もし、声をかけられたら……。踊りたい。
「こちらが断ることが難しいお相手でしたら、その……」
 お兄様が私の言葉に、ああと小さく頷いた。
 公爵の立場で断りにくい相手なんて、2人しかいない。陛下と、もう一人……。
「殿下からお声がかかることを心配しているのか」
 心配じゃないです、期待ですっ。と、お兄様も私とエミリーの関係は知らないのだから勘違いも仕方がないわよね。
「大丈夫だ。殿下だろうが、私が断ってあげるよ」
 え?
 いや、お兄様、断らないでよっ!
「あ、あの、アレルギーが出なか確かめて、その、出ないなら、大丈夫ですし……」
「そうか。話もしないうちに断るのは流石に不敬か。じゃぁ、話をしながらアレルギーの様子を確認して、もしダンスが無理そうなら気分が悪いようだとお断りしよう」
 お兄様の言葉にほっとする。
 エミリーとダンス。
 壇上で上位貴族最後の人の祝いの言葉を受けたエミリーの姿を見る。
 挨拶が終わると、陛下が椅子から立ち上がった。その横に王妃様が立ち、さらにシェミリオール殿下が並ぶ。