稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「誠実……か。いや、彼女のことを心から愛せなくて申し訳なかった。せめて彼女の望みはかなえようと罪滅ぼしのつもりでいうことを聞いていたけれど。それで結果として彼女も……妹も苦しめてしまったようで。ローレル嬢が妹を何度も助けてくれて感謝の言葉しかない。何かお礼をしたいと思っているのだが……」
 ローレル様がふっと笑った。
「愛せないから申し訳ないって思うところが誠実だと思いますわ。そんなこと気に病むどころか政略結婚なのだから愛など期待するなと言い放つ男性の方が世の中には多いですのに」
 お兄様がふっと笑った。
「愛を求めるのは贅沢な話なのかな」
「いいえ、情熱的な恋愛でなくとも、お互いのことを思いあう愛ならばそう難しい話ではないのでは?だって、親しい友達を作ることはできるでしょう?」
 お兄様が今度はくすりと笑った。
「そうだね。ローレル嬢のような女性であれば友達になりたいという人間も多いだろうね」
 ローレル様がお兄様に皮肉な笑みを返す。
「あら、そうでもありませんわ。私のように、あまりはっきりと物を言うのは苦手だという人も多いんですのよ?」
「そうかい?私は好きだけれど」

 お兄様の言葉にローレル様が閉口している。もしかして、適当に耳障りのいい話をしているだけと思った?貴族的なヨイショ話だと思われた?
「わ、私も、私もローレル様のことは大好きです。私とお兄様は好きなものが似ているの。だから、嘘じゃないわ。お兄様がローレル様のことを適当にあしらおうとして出た言葉じゃありませんわ」
 ローレル様が私の必死のお兄様の誤解を解こうと言う言葉に目を見開く。
「私とも友達になってくれるか?と、言いたいところだけれど。婚約解消なんて醜態をさらしてしまった後だ……。本当はこんな人前で言い出すようなことでないのは分かっているんだけれどね。話し合ってもらちがあかなかったから……」