稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 エミリーは、兄の挨拶を受け、妹である私の紹介も始めた。
 あれ?
 お兄様って、エミリーと……殿下の元ご学友で、ある程度親しい仲ではないのだろうか?
 なんだか形式ばっているというか。まぁ、こういう場であまりにもなれなれしく親しく話ができないとかそういうことかな?
 だったら、私も、エミリーといる時とは違うように、ちゃんと恥ずかしくないように気を引き締めないと。
 もう、今にでもお兄様と話をしているエミリーの横顔を見ているだけでドキドキが止まらなくて。
 ああ、本物のエミリーだぁ。嬉しい。戦争から無事に帰ってきてくれた。
 ふわりとオレンジ色の髪が揺れて、エミリーが私に顔を向けた。
 もうとっくに遠目で見てドレスに関して色々心の中で思うこともあっただろうし、私の正体も知って何か思っただろう。
 否定されるようなことはないと思う。
 そう、だよね?
 私が、公爵令嬢だって知ったからって、エミリーは……やっぱり婚約は無理ね。ごめんなさいと言ったりしない。
 そうでしょう?ねぇ、エミリー。
 むしろ、身分違いがどうだという反対する人がいなくて嬉しいわって言ってくれるんだよね?
 元々私にも、婚約の打診が前に来ていたくらいだから、陛下たちや周りの人たちも反対なんてしないよね?
 ああ、でも、不安になる。
 なんで黙っていたんだと思われていやしないか。でもそれはエミリーも私に正体を隠していたからおあいこだよね。
 宰相の娘と結婚したら色々面倒だとか思わないよね?
 お兄様とは仲良くやれそうにないからやめるとか言わないよね?
 ううん……もしかしたら……。
 他に好きな人が出来たから、婚約できないって言われたらどうしよう。
 いや、私とエミリーが婚約するのは元々、男性アレルギーと心が女というお互いの秘密を周りに隠して会うための者だもの。