稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「かわいいわぁ。うん、白一色なんて地味じゃないのなんて思っていましたけれど、フワフワとして本当に可愛くて素敵」
 その後に続く言葉が、まるでエミリーのようで……ああ、きっとエミリーはお妃さまを見て育ち、お妃さまにあこがれもあってそれで似ているのかもしれないなぁとふと思った。
「流石リリーシャンヌね。噂も色々聞いていますわよ」
 え?
「う、噂……ですか?あの、父や兄が言うことは……話半分で……」
 いったい何を言われているのか。うちの天使が~みたいな恥ずかしいことを言いふらしているのでは。
「くすくす。もちろん、お父様からも娘自慢は聞かされていますが、別の人からの噂ですわよ」
 べ、別の人から?
 まさか、エミリーが、私の話を?
 ああ、違う、落ち着いて。エミリーは私が公爵令嬢のリリーシャンヌだって知らないはずよね?
 それとも、私がどこの誰なのか、こっそり調査させた?
 いえ、調査などさせなくても、皇太子だったならばあちこちにいろいろ……影から見守り護衛する人のような人間がいてもおかしくない。
 そして、殿下に近づいた者の調査を命じられなくてもしているかも。だって、暗殺者だとか殿下を害する者が紛れ込んで近づいていては危険だものね。
 で、実はとっくに私の正体をエミリーは知っていて、知らないふりをしてくれていた?
 いや、なんかそんな感じではないとは思うけれど……。
「ブーケ・ド・コサージュの発案者はリリーシャンヌなのでしょう?」
 え?
 あ、そっちの噂?
「それから、動物の模様をドレスにあしらうというアイデアも斬新だわ。次々に新しいファッションを考案しているリリーシャンヌに、早く会って見たかったのよ」
 ああそうか。噂って言うのは仕立屋さんから聞いた噂ってことかな?

 そして、とうとうお兄様がエミリー……いえ、シェミリオール殿下の前に立つ。私はその隣に立った。