稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「かわいそうに、婚約破棄されたなら私の後妻にどうだい?」
「そんなに寂しいのなら、お相手しようか?」
 ご婦人たちから距離をとったエカテリーゼ様に今度は男性が声をかけている。
「わ、私を、誰だと思って……」
 悔しそうに唇をかむエカテリーゼ様。

「もちろん知っていますよ。伯爵令嬢エカテリーゼ様。ああ、家が傾きかけて多額の借金を負った伯爵家のとお付けいたしましょうか?」
「うちもいくらかお貸していたかと思いますわよ。公爵夫人となるのだから、すぐに返せるわと言っていらっしゃいましたがどうなるのでしょう?」
 何を言われているのかは私のミミには届かないけれど、多くの貴族に囲まれるようにしてエカテリーゼ様は本来伯爵令嬢がいるべき場所まで連れていかれた。
 それと入れ替わるように、次々と私とお兄様の元に多くの人が集まって来た。
「ロバート様、噂の天使を紹介していただいても?」
「リリーシャンヌ様は婚約もまだでありましたな、我が家には海外留学中の15になる息子がおりましてな」
「これは社交界に出さずに隠していたくもなるのが頷ける。流石にそろそろお相手を見つけようと?」
「ロバート、お前の言ってたこと本当だったんだな。天使って、本当に天使じゃないかっ」
 お兄様が私の半歩前に出て、その全ての方のお相手をしてくださる。
 流石に公爵令嬢だと分かっているので、ぶしつけに私に触れようとする者もいなければ、エスコートをしている相手を無視して直接私に話しかけようとする者もいない。
 だけれども、エカテリーゼ様にお兄様が話をしていた時には遠巻きにしていた人たちとの距離が次第に近くなって来たため誰が原因か分からないけれど少し肌がぞわぞわしてきた。
 このままでは鼻がムズムズして公爵令嬢らしからぬくしゃみをしてしまいそうだ。