稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 好き勝手に憶測で話が広がっていく。
 

「何故、ですの?」
 エカテリーゼ様が私を睨んだ。
「リリー様が、私を恨んでロバート様に婚約解消するようにと言ったのかしら?」
 え?私、何も言ってないし……。
「恨んだりなんて……」
 エカテリーゼ様がさらに私をにらみつける。
「舞踏会でのことを根に持っていたんじゃなくて?仮病だなんて言ったこと」
 エカテリーゼ様の言葉に、お兄様がカッとなった。
「……エカテリーゼ、何故そんなことを言ったんだ。仮病じゃないのは知っていただろうに……」
「いいえ、私は……そ、そう、慣れない場所で気分を悪くしたのだとしたら、その……慣れない場所にいつまでもいるのは大変だろうと……」
 お兄様が首を横に振った。
「あの時の状況は見ていた者たちに話を聞いたよ。ローレル様が状況をとりなしてくれたそうだが、リリーの状態はかわいそうなくらい酷い物だったと。もし、慣れない場所で気分を悪くしているように見えたのなら、何故場所を移動させてやらなかった?」
 エカテリーゼ様が言葉に詰まった。
「そ、それは……」
 さらに追い打ちをかけるように言葉を続ける。
「会場には私がいることも知っていたはずだ。私を呼ぶこともできたはず」
 そう言われれば、そうだけれど。
 お兄様と私の関係は知られないようにしてほしいと私がお兄様に頼んであったから、呼びに行ってもらっても困たかも。
 エミリーともう会えなくなっちゃってた可能性も。
 それを考えたら……。
「あの、エカテリーゼ様は目の前であのような状態になった私に驚いたのではないでしょうか?私も、もし目の前で突然人が倒れたら、どうしていいのか戸惑っておかしなことをしてしまうかもしれません……ですから、その……」
 思わずエカテリーゼ様をかばうような言葉が口から出てきた。