稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 お祝いの言葉と、公爵令嬢であることを強調するような内容と、それから……お会いできた幸運に感謝といったような……。
 エミリーが見れば「祝勝会で会ったこと」ではないことが分かるように。またお会いできる日を楽しみにしているという……。他のご令嬢も書きそうな当たり障りのない内容で書いた。
 でも、エミリーなら。

 噴水で出会ったこと。これから婚約してまた会いたいと思っているということが伝わるはずだ。
 久しぶりにエミリーに会える。
 エミリー……。どうしよう。公爵令嬢として感情的にならなように教育を受けている。公の場では常に冷静に。自分を見失わないように。
 怒りも悲しみも……そして喜びも。
 冷静でいられるかしら。思わずうれしなきなんてしちゃったりしないわよね。戦争から無事に帰って来たエミリー。
 大好きなエミリーの顔を見て私……。
 ドキドキと、屋敷を出る前から緊張し始めた。
「大丈夫かい?リリー……もし、無理そうなら……」
 お兄様が、緊張で顔をこわばらせた私を心配して声をかけてきた。
「だ、大丈夫です。参ります。あの、それよりお兄様こそ本当にエカテリーゼ様のエスコートをしなくてもよろしかったのですか?」
 もう、今さらなんだけどね。
 会場についたらフォローしに私の元を離れるかもしれないなぁと思いつつ。
「ありがとうリリー。少しだけ会場についたらエカテリーゼと話をする時間を貰うけれど……今日は1日リリーから離れないよ」
 ニコリと、お兄様がぎこちない笑顔を見せる。
 ん?お兄様も緊張している?
 いや、お兄様は何度も殿下にも陛下にも会っているし……大規模な王室主催の舞踏会にも何度も参加しているから今さら緊張するとも思えないけれど?
 もしかして、私のエスコートが緊張するなんてことは……ない……こともないのかな?