稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 そして、ダンスの練習にも力を入れ、髪や肌の手入れもいつも以上に行う。
 陛下へ挨拶するときの手順なども何度も繰り返し復習。念には念を入れ完璧な姿で皆の前に登場するつもりだ。
 エミリーに相応しい素敵な令嬢だと思われたい。
 エミリーの隣に並んでも見劣りしないようにしたい。
 だって、私、エミリーと婚約するんですもの。
 二人は誰が見てもお似合いだと。そう思われたい。
 そして、エミリーに……。
「なんて可愛いのかしら!リリー可愛くて可愛くて食べちゃいたいわ!ううん、あんまり可愛いから、抱きしめてもいいかしら?」
 と……。
 エミリーにぎゅっとされるところを想像して頬が熱くなる。
 わ、私ったら、はしたない。
 いえ、ううん、ハグくらい、想像してもいいわよね?
 きっと、お母様が生きていたら……お姉様や妹がいれば……私に男性アレルギーが無ければ……お父様やお兄様は、ぎゅっとしてくれたわよね。
 は、はしたなくなんかないんだから。うん、そうよ……。

 あれから、皇太子殿下の問題についてはお父様もお兄様も何も口にすることはなかった。耳ざとい侍女たちが噂することもなかった。
 侍女ネットワークみたいなのがあるらしくて、ほかのお屋敷に勤務している侍女とお茶会なんかで情報交換してるらしく、あまり舞踏会に出ない私よりも色々侍女の方が詳しいこともあるんだよね……。
 だから、本当に問題は大したことがないことで、大丈夫なんだとほっとできた。
 兄は、私のドレスに合わせて上着だけ新しく仕立ててもらった。
「本当に、私のエスコートでよろしいのですか?」
 白い上着だ。兄はズボンはグレー。それに合わせて真っ白ではなくグレーのラインが少し入った白い上着。
 舞踏会の格が上がれば上がるほど、エスコートする人とされる人の服には注目が集まる。それに合わせて新しく仕立てる者も増えるからだ。