稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 ギラリと、デザイナーさんの目がきらめいた。いや、ぎらついています……。
「そうですわ!ドレスと同じ布を使ったブーケ・ド・コサージュも素敵ですが、真っ白な布であれば……どのような色合いのブーケも似合うことでしょう。オーバースカート……巻きつけるスカートもとても素晴らしいアイデアです。それならば、1着のドレスが何通りにも……そう、布の巻き方一つでも色々と違った表情を見せることが……あああ、なんて素敵な!素晴らしい、素晴らしいですわ!リリーシャンヌ様!流石、ファッションリーダーです!」

 デザイナーさんが何かに憑りつかれたように、紙に次々とデザイン画を描いている。
 すごいのは、湯水のようにデザインが湧いてくるデザイナーさんの方だと思う。
「ああ、リリーシャンヌ様、祝勝会は何色と組み合わせましょうか?」
 ああそうか。色のついた布やブーケと組み合わせるとなると……。
 ……。
「いらないわ……。1か月後の祝勝会には、白で……真っ白なドレスで出席します」
 天使だと噂されている私が、天使の羽根のような白いドレスで現れたら、目立つだろう。私よりも、ドレスが目立つだろう。
 天使のよなドレスを着ていたと、天使の噂が薄まればいい。
 白いドレスの噂で、着ていた私の噂が減ればいい。
 ……そして、その次には同じ白いドレスが別の顔を見せる……あ、どうせなら……。
「ねぇ、間に合うのであれば、当日……途中でブーケや布を飾り付けるのはどうかしら?」
「え?」
「白から別の色……色直し……お色直し……。ちょっとした休憩場所は与えられると思うの。そこに侍女……いいえ、あなたでもいいわ。控えていてもらって……ぱぱっと、ブーケをとりつけてもらうというのは?」
 真っ白というイメージをもった人たちが、私を探そうとしたら探しにくくなるんじゃないかしら?