稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 かわいいというと、子供っぽいもの。私のような年齢ではあまり着用しないというか……。
 1番初めにピンクのドレスを着て行ったときの嘲りの言葉の数々を思い出す。
 お母様が生きていたころに……お母様が私のためにデザインを考えてくださったピンクのドレス。それと似たようなものをお父様やお兄様が私に代わって注文してくださった、家族の愛そのもののドレス。
 ……お母様、お母様ならどんなドレスを私のためにデザインしてくださるかしら。
「リリー可愛いわ。お花みたい。いらっしゃい私の天使」
 ふと、お母様にぎゅっと抱きしめられたことを思い出す。
 ああ、そうだ。
 私のことを天使だと言っていたのは、お母様が一番初めだったかもしれない。
 お母様には私が天使のように見えたの?
 ぎゅっと拳を握りしめる。
 私は、何のために祝勝会に参加するの?
 エミリーに会うためよ。
 だから、エミリーが見て心が躍るようなドレスにしたい。
 そして、家族が天使だと言っていた言葉を裏切るようなこともしたくない。
 お父様やお兄様に恥をかかせないようなドレスにしたい。
 会場に来ている他の人たちのためのドレスにする必要なんてない。
 お父様とお兄様と……そして、エミリーが素敵だと思うようなドレスであれば十分だ。
「可愛くて……そして……天使のような……そう、白いドレスをお願いするわ!」
 白というのはとても難しい色だ。

 真っ白な布というのはそれだけで貴重なのだ。小さな汚れやくすみなどは、染めてしまえば分からなくなる。だけれど、真っ白な布はごまかしがきかない。それゆえに、高価だし、中途半端に安い布には欠陥が見えてみっともなくなってしまう。それに、汚れも目立ちやすい上に洗濯では落としきれないこともあり扱いが大変だ。