稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 ああ、でも天使か。天使ってフワフワして可愛いわよね?
 エミリーはそういうの好きかもしれない。

「まだ正式発表はされていないけれど、1か月後に祝賀会が開かれると思うの。それまでにドレスを1つお願いしたいのですわ」
 仕立屋には早速着てもらう。
 いつものデザイナーさんだ。
「はい、使いの者から簡単にお話を伺いました。公爵令嬢として両陛下や皇太子殿下にご挨拶をなさると……そのための特別なドレスを仕立てるということですね。お任せください!」
「本来なら、半年はかかるような仕事を……1か月でお願いするのは大変だと思いますが……」
 そうなのだ。
 ドレスをデザインを考え修正しながら仕立てるには最低でも3か月。特別なものであれば半年から1年ほどかかることもある。

 世界に一つだけの特別なデザインのドレス。刺繍の模様一つとっても、専門の職人が一目ずつ丁寧に刺していくのだから、当然時間がかかる。
「いいえ、何をおっしゃいます!そんな特別なドレスをおつくりすることができるのは大変光栄なことでございます。それに、ブーケ・ド・コサージュはすでに公爵令嬢リリーシャンヌ様が考案なさったということは広まっております。ファッションリーダーとしてすでに名前が広がりつつありますので、祝賀会に姿を現すとなれば、どのようなドレスを身に着けて登場するか注目されることでしょう」
 え?
 天使だと噂を聞いて興味を持っている人の注目に加え、ファッションリーダーとして注目されるってこと?
 う、うわあ。
 うわぁ。
 やだ、どうしたらいいんだろう。助けてエミリー!
 本当に私、大丈夫かしら?
「どのようなドレスに致しましょう」
「かわいいドレスがいいわ」
 反射的に口にしてしまう。
「えっと……最近の流行とは違うものに……ということでしょうか?」
 デザイナーさんが閉口してしまう。
 ああ、そうね。