稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「大丈夫かい?ああ、もちろん、もちろんリリーが大丈夫なように、今度こそ私はリリーの側を離れずエスコートするつもりだが……その、公爵令嬢として参加するしかないんだよ?顔も素性も皆に知れ渡ることになるけれど……」
 そうか。
 参加するということは、おめでとうございますと皇太子殿下に挨拶をするということだ。
 出席している上に、上位貴族にも関わらず挨拶に現れないという選択肢はない。
 ……ふ、ふふ。だからこそ、行くのだわ!
 確実に、エミリーと会えるんだもの!
 エミリーに挨拶するときに手紙を渡そうと思っているんだもの!
 ああ、エミリーはどんな顔をするかしら。
 目を見開いて口をぱかっと開けたみっともない顔をしちゃうかしら?それとも、皇太子として動揺を見せず表情を変えないかしら?
「ありがとうお兄様。舞踏会にも少し慣れましたし、お友達もできましたから……」
「無理をしようとしているわけじゃないんだね?」
 尚も兄は心配そうな顔をして私に確認してくる。
「はい」
 と、頷くと兄がやっと納得したように笑顔を浮かべた。
「じゃぁ、仕立屋を呼ばなければね!」
 え?
「1か月か、ギリギリ間に合うだろう。新しいドレスを作らなければ。そして、宝石に靴、揃えなければならないものは沢山あるね」
「お兄様、ドレスなら沢山ありますし……」
「何を言っているんだい。リリーが初めて公爵令嬢として皆の前に大々的に姿を現すんだよ?しかも、皇太子殿下に挨拶もする。今までの舞踏会とは違い、若者だけではなく国内の有力貴族がこぞって姿を現す場だ。王宮主催の舞踏会の規模も華やかさも人々の目の厳しさも何もかもけた違いさ」
 うっ。
 エミリーには会いたい。
 でも、私、大丈夫かしら?そんなに注目されるの?