稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「ええ。でもお父様が男性が苦手なので近づけないようにと伝えてくださっているようですが……」
 苦手なのでだったかな、男を近寄らせたくないっていう親ばかっぽい理由だったかな。
「それで、あそこまで気を使って貴族令嬢なのに、自分も同じようにエスコートなしを貫いているのかい?素敵な人だね。リリーは本当によい友達をもったね」
 そうだ!そうだわ!普通の貴族令嬢ならば、馬車の乗り降りを一人でしたりしない。
 私が公爵令嬢だから同じようにしないといけないとかそんなんじゃなく、私が気を使わなくていいように自然とそうしてくれていたんだわ。
 お兄様の言葉に、大きく頷く。
「はい。そうなのです。本当にローレル様は素敵な方なんです!ローレル様のようなお姉様が欲しいです」
 私の言葉に、兄が目を見開いた。
「……リリーは……エカテリーゼのことをどう思う?」
「あ、いえ、その、も、もちろん、エカテリーゼ様がお姉様になるのが、嫌だという意味では……」
 嫌だと言う意味ではないけれど。
 それでも、ローレル様と比較しちゃえば見劣りするというか……どっちかを選べって言われたら当然ローレル様を選んでしまうだろうし……。それって、あんまり好きじゃないと言っているようなことになっちゃうのかな……。
 駄目だよね。家族になるんだから……。
「ああ、そうだな。分かっている。リリーは、一度もエカテリーゼのことを悪く言ったことはないよな……」
 どうしたんだろう。お兄様の顔色があまり良くないように見える。
「わ、私、本当に、エカテリーゼ様のことを嫌いではないんです。あの、ただ、あまりお話する機会がないので、その……親しくなる機会もないというか……」
 公爵家に何度かいらしたけれど、お兄様とお茶をしてすぐにどこかへ出かけることがほとんどだった。