「何でもありませんわ。では、私も家族が帰りを待っておりますので、失礼いたしますわ」
丁寧に頭を下げて、ローレル様は再び馬車に乗り込む。
「あっ!」
いったい、ローレル様は何をお兄様に言ったのかと、思い出してみると「私たち」の「たち」ってまさか……。
アンナ様やハンナ様のことではなく、エミリーのことなんじゃ……。
婚約すれば、確かに舞踏会でのエスコート役は婚約者のエミリーがすることになる。
もしかして、ローレル様、私が婚約しようとしていることに全く気が付いていない兄に鈍いなぁと言ったのかしら?
「リリー、私の何が鈍いのだろうか?動きかな?屋敷から出て馬車までの動きが鈍かっただろうか?領地では屋敷にこもってずっと仕事をしていたからね。ちょっと鍛えなおすべきかな……」
お兄様が真剣な顔をして腕やお腹をさすり始めた。
いや、ローレル様は体の動きのことを言っていたわけではないと……。うん、確かに、こういうところは鈍いのかもしれませんね。
「お兄様、色々話を聞かせてください。王都を離れていたので、戦争もどうなったのか気になりますし」
「あ、ああ、そうだな。だが、まずはゆっくり休みなさい。馬車に乗りっぱなしで疲れただろう?……そういえば……」
お兄様が、ローレル様の馬車が走り去った方に視線を向けた。
■
「馬車を降りるときに、手を差し伸べもしなかった……リリーと同じように接してしまって、失礼なことをしたな」
言われてみれば確かに。馬車の乗り降りは、踏み台を使う。女性の場合は、男性に手を差し伸べてもらい、転ばないようにと配慮してもらうのだ。私の場合、兄や父にも、軽くアレルギーが出てしまうために一人で乗り降りすることに慣れてしまったけれど。
そういえば、旅の道中も、私だけでなくローレル様たちも一人で乗り降りしていた。
「リリーの事情は知らないのだろう?」
丁寧に頭を下げて、ローレル様は再び馬車に乗り込む。
「あっ!」
いったい、ローレル様は何をお兄様に言ったのかと、思い出してみると「私たち」の「たち」ってまさか……。
アンナ様やハンナ様のことではなく、エミリーのことなんじゃ……。
婚約すれば、確かに舞踏会でのエスコート役は婚約者のエミリーがすることになる。
もしかして、ローレル様、私が婚約しようとしていることに全く気が付いていない兄に鈍いなぁと言ったのかしら?
「リリー、私の何が鈍いのだろうか?動きかな?屋敷から出て馬車までの動きが鈍かっただろうか?領地では屋敷にこもってずっと仕事をしていたからね。ちょっと鍛えなおすべきかな……」
お兄様が真剣な顔をして腕やお腹をさすり始めた。
いや、ローレル様は体の動きのことを言っていたわけではないと……。うん、確かに、こういうところは鈍いのかもしれませんね。
「お兄様、色々話を聞かせてください。王都を離れていたので、戦争もどうなったのか気になりますし」
「あ、ああ、そうだな。だが、まずはゆっくり休みなさい。馬車に乗りっぱなしで疲れただろう?……そういえば……」
お兄様が、ローレル様の馬車が走り去った方に視線を向けた。
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「馬車を降りるときに、手を差し伸べもしなかった……リリーと同じように接してしまって、失礼なことをしたな」
言われてみれば確かに。馬車の乗り降りは、踏み台を使う。女性の場合は、男性に手を差し伸べてもらい、転ばないようにと配慮してもらうのだ。私の場合、兄や父にも、軽くアレルギーが出てしまうために一人で乗り降りすることに慣れてしまったけれど。
そういえば、旅の道中も、私だけでなくローレル様たちも一人で乗り降りしていた。
「リリーの事情は知らないのだろう?」

