稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 エミリーは、お互いの事情、秘密を隠すための政略婚約を提案してくれただけで……。
 そりゃ、もちろん友達としてとても好意を寄せてくれているんだというのは分かるんだけれどね。
 今、ローレル様が想像しているようなロマンスでは……ないのですよ。
 ……流石にそこまでは教えられないけれど。
 それでも、私はエミリーと一緒にいられるって想像するだけでとっても幸せな気持ちになる。
 ああ、早くエミリーに会いたい。
「ふふ、リリー様ったら、とても幸せそうな顔ね。お2人の関係は、まだ秘密なのかしら……?」
「あの、私が公爵令嬢だということを話していませんし、私も皇太子殿下ということを知らなかったので両親には何も話していません。殿下も、まだ私のことについては何も陛下に伝えていないんじゃないかと……」
 ローレル様が楽しそうに笑った。
「そうなのね。驚くでしょうね。陛下も宰相閣下も。まさか、当初政略結婚させようとしていたお2人が素性も知らず出会って恋に落ちたなんて聞いたら……ふふふ。なんだか、ロマンスとして本が出て飛ぶように売れそうね?私も登場するかしら?」
 物語に語られない部分も多いですけどね……。
 私の男性アレルギーのことも。
 シェミリオール殿下の心が女性だということも。
 私たちの婚約……結婚は偽装であることも……。
「さぁ、リリー様、体調が回復したことが本当でしたら、早速出発しましょう。あ、朝食をいただいてからですわね。早く王都に戻って、会いたいでしょう?ふふふ。あ、大丈夫ですよ。ハンナにもアンナにも内緒にしておきます。発表があるまでは。ふふ、ふふ。皆様の驚く顔も楽しみね」
 ローレル様が楽しそうに笑った。
「リリー様のような方が皇太子妃になればこの国の未来も明るいわね。心配なのは公爵家の未来よね……」
 そして、なにかを思い出したように小さくため息をつく。