稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 結婚に憧れが無かったし。やっぱりお父様やお兄様のやさしさに甘えていたのかな。
 お母様が早くに亡くなって……女性としての常識にも欠けていたというのもあるかも……。
 口ごもって答えられなくなってしまった私にローレル様が言葉を続けた。
「……公爵様が強く、皇太子殿下との婚約を望んでいたのでしょうか?」
「い、いえ、その、幼いときに殿下と婚約の打診は確かにあったのですが、むしろお父様は立場が悪くなるかもしれないのに、私のために断ってくださいました」
 お父様が私に何かを強要したことなんて……あ、あったわ。
 修道院に行くといったら、結婚しろ!って。……今思えば、親心だし。強要というほどでもないわよね。
 本当に強要するならば、家に婚約者候補を連れてきて顔合わせして……いえ、もうすでに男性としての能力を失った者をあてがう可能性だってある。方法はいくらだってあるのに、立場は問わないから、誰かいい人を見つけるようにって送り出してくれたわけだし。
「あら?……ということは、その……皇太子殿下のことが、あー……昔から何か合わないと思っていたの?もしかして舞踏会に出始めたのも、打診を断るために婚約者を別に探すためだったのでは?」
 え?

 いや、別に殿下から婚約の打診はそのごありませんでしたし。
 なんせ、心が女という秘密を抱えていて、エミリー自身が婚約を避けて、皇太子の地位も弟に譲ろうとしていて……。
「皇太子妃になりたいとおっしゃっていましたが、どうやら、私の親に言われたとか、王妃の地位にあこがれてとか、そういう意味とは違うようですわね?すでに陛下から打診を受けるような立場で、改めて皇太子妃になりたいなんて言わずとも……。まさか、断り続けるのも難しく、覚悟を決めたのかしら?ねぇ、リリー様、断れる立場なのですからあまり無理をすることもありませんわよ?」
 あれ?