稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 だって、お兄様がべったり側についていたら、エミリーに会いに行けなくなっちゃうし。
「こ、公爵令嬢だと知られたくなかったので、公爵令息にエスコートされてしまえば、あれは誰だとすぐにバレてしまいますし……。だから、私がお願いして、その、エスコートも断ったというか……だ、だから、お兄様のせいでは……」
 ローレル様がちょっと表情を緩めた。
「あら、そうなの?」
 うんうんと、大きく頷いて見せる。

「お兄様は、いつも私の身を心配してくださっています。気分が悪くなるようなら無理して舞踏会へ行くことはないと言うくらいなんです。お父様にも、自分が話をつけてやろうと……」
 ローレル様が、まぁと目を見開いた。
「ごめんなさい。私、誤解していたようだわ。ロバート様は、妹をないがしろにする酷い方だとばかり……。むしろ心配で心配で仕方がないけれど、リリー様が公爵令嬢だとバレたくないという気持ちを汲んで遠くから見守っていたということなのね」
 うんうんと、再び大きく頷く。
「そうなんです。あの、お父様もお兄様もとても私を大切にしてくださっています。その……なかなか結婚が決まらない私に、ずっと家にいればいいよと言ってくださったり。それから、舞踏会へ行くと決めてからは、身分を気にせず好きな人を見つけてきなさいと……そのために、公爵令嬢だということは伏せて参加していたのです」
 ローレル様が私の言葉を聞いて、ちょっと視線を落とした。
「その……リリー様のような立場で婚約者がいらっしゃらないのは、なにか事情でも?」
 ぱっと顔を上げたローレル様が言いにくそうに口を開いた。
「あ、その……」
 事情は、男性アレルギーだからだ。
 いや、でも、アレルギーが出ない男性を探すことに積極的ではなかったのは……。このままでもいいのかと思っていたのかな。