稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 縄を切って自由になったことは知られないようにしながら、機会をまとう。入口には見張りが立っているだろう。
 助けは来るはずだ。来ないとしても、交渉が進めば、僕が無事な姿を見せろだとか、人質と交換だとか何らかチャンスは訪れるはずだ。
 リリー……。待っていてね。
 バラバラになったお守りをもう一度組み立てて胸ポケットにしまう。
 大丈夫よ。私にはあなたがついているんだもの。リリー。ぜったいにあなたの元に帰るから、待っていてね……。
 リリー、私の、リリー。
★★

気分が悪いと言って王都への出発を後らせること2日。
 ローレル様にもアンナ様ハンナ様にも、とても心配されいる。
 仮病を使っているのは心苦しいけれど、皇太子がさらわれたというのは極秘時効で教えるわけにはいかない。
 だけれど、このまま体調が悪いと言って引き留めるのも限界だろう。
 ちょっと休めば大丈夫だと言っているけれども、お医者様を呼びましょうだの、このまま王都に向かった方がゆっくり休めるんじゃないかと言われたり、ローレル様が慌てふためいている。取りあえず使いの者を公爵家に出そうというところで話がまとまったようだ。
「あの、手紙を書きますので、使いの者に渡してもらえるようにお願いできますか?」
 アレもコレも止めるのもおかしいと思い、使いの者を出すことは止めない代わりに、利用させてもらことにする。
 ローレル様たちを引きとめ続けるのも難しい。事情を説明したいと。
 ローレル様たちは口が堅いし、信用できるから大丈夫だと……。
 それから、どうなっているのか続報がもたらされたならばすぐに教えてほしい……。
 ああ、エミリーは無事なのだろうか。
 手紙を書く手が震えてしまい、上手く書き進められない。