稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「あの、学園だと、どのようなことを学ぶんですか?」
「んー、国の歴史とか。すごく眠たくなる声でもそもそと歴史を先生が語るのを、寝ないように聞き続ける訓練ができるんですよ」
 寝ないための訓練!
「ああ、体力をつけるためとダンスの基礎レッスンだからとステップを踏みながら校内の廊下を10週なんてものもありましたわね」
 ステップで校内10週?
「楽しそうですわね!」
 私がワクワクしたまなざしをむけると、ハンナ様とアンナ様は複雑な表情を見せた。

 王都まであと2日というところで急使が現れた。
「公爵令嬢リリーシャンヌ様へ、手紙を預かっております」
 え?馬車の外で対応に当たっていた者と急使の会話を聞いて首をかしげる。
 ローレル様の馬車にわざわざ私宛の手紙?誰から?
 あと、2日もすれば、王都に戻るのに。
「大切な手紙かもしれませんわね。ちょうどいいですわ。休憩しましょう」
 私が手紙を受け取ると、ローレル様たちは馬車を出て一人にしてくれた。
 封印を見ればお父様からだと分かる。公爵家の印にならんでお父様の印も押されているからだ。
 いったいなんだろう。
 封をあけ、手紙を開く。
『リリーシャンヌへ
今はどのあたりを進んでいるのだろう。久しぶりに会えるのを、私も妻も楽しみにしているよ』
 から始まる文章が書かれていた。
「あ……」
 これは、暗号だ。

 妻……母はもう亡くなっている。そのお母様のことを生きていると思わせるように書かれた手紙は、2枚目から人目に触れないように読みなさいという暗号だ。
 人前で開いたときのための暗号まで使って何を私に伝えようとしているの?
 1枚目の残りの文面をとばして、2枚目に目を通す。
 人目につかないようにと注意したうえで、さらに用心のため2枚目は、色々な国の言葉がまぜられ書かれていた。