稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 手に汗がにじんできた。
 正直に気持ちを話たけれど、あきれられてないだろうか。
「なんて素敵なの!リリー様!」
 うはっ。
 ふわりと柔らかい体に包まれた。
 ローレル様に抱きしめられたのだ。
「あなたなら、素晴らしい皇太子妃……いいえ、王妃になるわ!」
「私もそう思います!私を誰だと思っているのとつんけんしている方より素晴らしい王妃になれると思いますっ!」
「そうです。お金ばかりかかるドレスを流行させるような王妃より私たちのような立場だと助かりますし、それにお菓子を自分で作ると言っても馬鹿にしなかった」
 ハンナ様とアンナ様の声があがる。とげとげしたものではなく、本心からの言葉だと思う。
 ずっと瞑っていた目を開くと、ローレル様が体を離し、両肩を捕んで顔を覗きこんだ。
「王妃になるなんて、とても大変で苦労も多いと思うわ。辛い思いがあれば、いつでも話を聞くし、力になるわ。一人で抱え込まないで」
「ロ、ローレルしゃま……」
 涙がこぼれる。
 うれしい。ああ、私……。
 それから、昨日の夜考えたことをぽつぽつと話した。
「まぁ、なんてすばらしいのかしら。困っている女性を助けるために王妃の位につく決心をしただなんて」
「リリー様、私、コルセットに困っているの!是非コルセットがないドレスを流行させてほしいわ!」
「私、今、沢山食べても太らないお菓子が作れないかと実は研究しているのですわ。太らないお菓子の専売許可とかいかがですか?」

 ポロポロと涙が、話をするたびに落ちる。
「ありがとうございます。あの、私……至らないところばかりなのに……」
 応援してくれる気持ちがうれしい。
「あー、ほら、リリー様。また自分を卑下するようなことをおっしゃってますよ。大丈夫です」
 ローレル様がニコニコとほほ笑んでくれる。
 綺麗な刺繍が施されたハンカチで涙をぬぐわれる。