稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 エミリーにも話をしてみよう。

「リリー様、朝ですわ」
 はっ。
 ローレル様に揺り起こされた。
 昨日は色々と考えていて夜更かしをしてしまったから。
「ご、ごめんなさい。ちょっとあの、考え事をしていて寝過ごしてしまいましたわね。すぐに準備いたします」
 きっと部屋の外から声をかけても起きなかったから心配して起しに来てくれたのね。
 慌ててベッドから降りてローレル様のが呼び込んだ侍女に手伝ってもらいながら準備し、朝食をとって馬車に。
「ねぇ、リリー様。リリー様はどなたから婚約の打診を受けていらっしゃるのではなくて?」
 唐突なローレル様の言葉に、ハッと思い出す。

 そう言えば、私……。書きかけた手紙を机の上に置いたままだったわ。ローレル様はそれをご覧になったのかも。
「あ、あの、私……その……」
 ローレル様が心配そうな顔で私を見ている。
「もし、お断りする理由が自分のためならば止めないわ。色々と苦労もするでしょうし嫌な思いもするでしょうから……。ですが、誰かのために身を引こうとしているのならそれは違うと思うわ」
 ぐっと、ローレル様の言葉に、拳を握りしめた。
「わ、私」
 小さくこくりと唾を飲み込む。
 決めたんだもの。
「皇太子妃になりますっ」
 目をつむって、大きな声で宣言する。
 昨日までは、打診があったけど断ったとか皇太子妃になる話は否定していたのに、手のひらを返したように違うことを言い出す私に3人がどういう反応をするのかが怖くて……それでも、ちゃんといわなくちゃと思って思い切って打ち明ける。
「私なんかには無理だとずっと思っていたんです。ですが、ローレル様に言われて……。自分にできることがあるんじゃないかと。私なんかと思わずに、考えたんです。……そうしたら、逆に、私なんかと思っていた私だからこそ、できることがあるんじゃないかと……」