稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 どんどん想像が膨らみ、ローレル様と王都へ向かう馬車の中では気もそぞろ。常にフワフワした感じだった。
 そんな私の様子を見てローレル様がいう。

「リリー様は、やはり家に帰れるのが嬉しいのね。家族と長く離れるのは寂しいものですものね。お父様……宰相様も大切な娘が戻ってきて嬉しいでしょうね。ふふふ、ねぇ、今だから言いますが、宰相様って相当親ばかと言いますか、リリー様を溺愛していらっしゃいますよね」
 ローレル様がにこやかに話をしている。馬鹿にするという感じではなく、いいなぁという顔だ。
「溺愛?確かに、お母様が早くに亡くなり、お父様にはお母様の分も愛情を注いでいただいておりますが……」
 私とお父様とのやりとりを見たこともないのに、何故ローレル様の口からそんな言葉が出てきたのか分からず首をかしげる。
「ふふふ、実はね、うちでリリーを預かることに決まったときに、注意書きを渡されているのよ。余計な虫がつかないようにいっさい男を近づけないでくれ!と。例え使用人だろうが既婚者だろうが、男性に免疫がない娘がいらぬ気持ちを持つ可能性があっては問題だ……ですって」
 え?
 そういえば、確かに、ローレル様のお屋敷への移動中も、ローレル様のお屋敷での生活でも、アレルギーに悩まされることも、アレルギーの心配をすることもなく過ごしていた。
 そうか、お父様が先手を打って……。
「確かに、学園にも通っていらっしゃらじ、舞踏会へもそれほど出席していらっしゃらなかったものね。婚約者もいらっしゃらないでしょう?もしかしたら、娘を嫁にやりたくないっていうことで婚約者もいらっしゃらないのでは?」
 ローレル様の言葉に、アンナ様が閃いたとばかりに口を開いた。
「もしかしたら、リリー様のところに皇太子殿下との婚約の打診があったけれど、宰相様が断ったんじゃありませんか?」
 それに続いてハンナ様も口を開く。