稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「レース編みを習った頃は、糸を引っ張り過ぎたり、目の数を間違えたりして、平らに編むこともできなかったなぁと思い出して」
「あら、リリー様も?私もぐにゃぐにゃになってしまいましたわ。ぐるんと反り返ったり、グルグルと回ったり」
「そうなんです、そうなんです!」
 編み始めはとても気を付けて糸の引っ張り具合も目の気を付けるんだけど、調子に乗ってくるとすぐに間違えてしまううえに、今編んでるそこしか見えてないから、編み進めて初めて平になっていないことに気が付いて、随分ほどいて編みなおす羽目になる。
 手元で編みあがっていくレースに視線を落とす。
「あれ?……?」
「リリー様どうかしました?」
 レース針を、今編んでいた糸から引き抜き、別の糸で新しく編み始める。
 糸の引っ張り加減や、網目の数を調整することで、柔らかなカーブを描いたドロップ型の親指サイズのものが編みあがる。
 ローレル様に編みあがった小さなものを見せながら、興奮気味に言葉を発する。
「ローレル様、これ、よく見れば花びらみたいだと思いませんか?これをいくつか組み合わせると、レースの花が出来上がると思うんです」
 通常、レースは平らに編む。花も、網目で模様として表現することはあるけれど、編んだレースを用いて花を作るようなことはない。
「花、ですか?」
「ええ、ブーケ・ド・コサージュ、布で花を立体的に作っているでしょう?レース編みでも作れないかしら?」
「まぁ!リリー様、素敵!そうですわね!レース編みのお花、ちょっと試してみましょう!」
 それからは二人で毎日毎日レースを編み続け、花の形にならないかと研究を重ねた。
「リリー様、ちょっとかわいそうですが薔薇の花びらをちぎって真似して編んでみましょう!」
「そうですわね!他の花もかわいそうですけれど……それが成功への近道のような気がしますっ」