稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「……人を殺してしまったことで悪夢を見るようになり帰れなくなる人もいるし、命は助かっても手足を失い十分に働けなくなって家族の負担にならなようにと身を隠す人もいる……身勝手なのは、戦争を始める人です」
 はっとする。
 そうだ。一番身勝手なのは戦争を始める人。
 沢山の人たちが兵として駆り出されている。王都も公爵領も。
 そうか。兵の何割かは戻ってこない可能性を考えないといけないんだ。
 孤児、もしくは女手一つで子供を育てていくことになる。
 孤児が預けられる孤児院への支援は当然お父様も行うはずだ。戦死した家族へはお金も渡される。
 生きているのに戻らなかったために働き手を失った女性たちへの保証は?どうなっているのだろう。
 いや、戦争だけじゃない。働き手を失った女性たちは他にもいる。いったい、どのように生活しているのか。考えたことも無かった。
 そう言えば……私が行こうとしていた修道院……。女性ばかりで過ごすことができる天国だと思っていた場所。
 10歳までの子供なら男の子もいるらしい。もちろん修道院へ入った女性の子供だ。暴力をふるう夫から逃げてくる場所でもあるらしい。
 お父様が嘆くくらい、男の人は入ることができない修道院。例え陛下でも入れない。警備は厳しいため夫や父親などの家族から逃げるために修道院へ入る人がいると……。だけれど、10歳で男の子は出て行かなければならない。子供と一緒に修道院を出る女性はその後どうなるのか。
 女性が身を寄せ合って、協力して子育てしたりする場所はあるのだろうか。男の人の手を借りなくても女性たちだけで……。
 女性の仕事は何があるのだろう。子供を育てながら働ける場所はあるのだろうか。
 女性の仕事……。私ができることと言えば、何だろうか。

 ローレル様の領地へ移動するのに一週間ほど。