稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 エミリーのためじゃなくて、他の人のためにも何か考えたことある?……自分のことばかりだった。男性アレルギーがあるから何もできないと、正直に言えば、私はかわいそうだと。かわいそうな私と……思っていたくらいだ。
 私なんかがローレル様に勝てるわけない。
 エミリーとローレル様が並ぶ姿を思い浮かべる。
 勝てる、わけはないんだ。
 だけど。
「私は、エミリーともローレル様とも友達でいたい……友達として恥ずかしくない人間になりたい……」
「え?エミリー?あの、私はリリー様を恥ずかしいなどと思ったことはありませんわ」
「もっと、もっと相応しくなりたい。言ってくれましたよね?私なんかって言わないでと。……私、もう、言いません」
 ボロボロと落ちる涙をぬぐいもせず、顔を上げてローレル様をまっすぐに見た。

「私なんかって言って、何も考えない、努力しない、恥ずかしい生き方はしたくないです……何かのせいにして、自分を憐れむのも……努力を放棄する言い訳にするのも……恥ずかしい……私……」
 ローレル様が、食事の手を止めて立ち上がった。
 すぐに私をぎゅっと抱きしめてくれる。
「リリー様は恥ずかしい生き方なんてしてないわ。努力もしてるのは分かるわ。とても美しい所作で食事をするもの。姿勢も素晴らしいわ。努力無くしては成せないことだと私は知っているわ」
「ローレル様……でも、そんなの……」
 出来て当たり前のこと。
「リリー様、普通のことですわ。学園に通っていれば、卒業した後はどうしようと考えるようになって、初めて自分がこれから何をどうしていけばいいのか考えるのは普通のこと」
 そうなの?
 お兄様は小さなころから領主になるために色々と努力していたような気がする。