稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「もちろんです、あの、失礼があったらごめんなさい」
 アンナ様とハンナ様と合流して、4人で移動するのはありがたかった。
 色々な話に気持ちがまぎれるから。
 夜、宿の部屋でベッドに入ると、エミリーの……いいえ、皇太子殿下の凛々しい騎乗姿を思い出す。
 まっすぐ前を向いている”エミリオ”の表情はとても凛々しくて素敵だった。
 たくさんの女性たちがうっとりと見ていた。
 オレンジ色の髪に、赤い服がとても似合っていた。誰がどう見ても、立派な男性がいた。
 エミリーの面影なんて少しも無くて。私の知らない、別の人みたいだった。
 だけれど、皇太子であれば、国民に不安を持たせるような振る舞いなどできるわけもない。
 できるだけ男らしくふるまっていたのだろ。
 ……エミリーは、弟に家を継いでもらうって言ってたけど。
 それって、王位は弟に譲る。皇太子の地位を降りるって話よね……。ただのお家問題と違う大ごとだわ。
 めんどくさいことを片付けたら婚約しましょうって言ったけれど、まさか、めんどくさいことというのが……皇太子の地位を降りるということだったなんて。
 うーんと、固く両目を瞑る。

 お世継ぎのことを考えたら、エミリーが王位を継ぐのは無理なのよね。無理というか、王としての務めの一つはお世継ぎを残すことだもの。
 心が女のエミリーには絶対無理なことだ。まぁ、在位中にお子が生まれない王もいる。
 そう言う場合でも、王位継承権は誰が何番目といったように決まっているから、王子が生まれないイコール王家が途絶えるというわけではないのだけれど。
 必ずしも、お世継ぎを残す必要があるというわけでもないといえばないんだけれど。生涯独身で通した王なんていうのも他国にはいたはずだ。
 ……。
 ガバリと布団を跳ね上げ、上半身を起こす。
「何も問題がないんじゃないかしら?」