稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「そうね、確かだわ。王妃様、そして公爵家の方々が流行は作り出していくものですわね。男性がどう思おうと、女性のファッションに口を出す者ではありませんわね」
 身長が高い方が美しいドレスのデザインがたくさん出来上がってきたら。いつかこっそりエミリーにも作ってプレゼントしよう。
 あまり体に密着したデザインだと、細かいサイズが分からないと作れないから、ゆったりしたデザインも考えてもらって……。
「ふふふ、背の高い女は女じゃないと言っていた方々は、かかとの高い靴が流行ったらどう言うのでしょうね。ああ、噂をすれば、あちらにブルーレ伯爵令息の姿が」
 ローレル様に言われると、少し先の馬車の窓から、ブルーレ伯爵令息の顔が見えた。
 あれ?
 ちらりと、その奥に一瞬見えたのは、エカテリーゼ様?
 ……お2人はお知り合いなのかしら?
 だとしても、お兄様という婚約者がいらっしゃるのに、別の男性の馬車に……?
 いえ二人きりとは限りませんわね。エカテリーゼ様は寂しがり屋ですから。お友達と、皆で馬車から出陣パレードを見ているんですわよね?
「あら、まだ途中だと言うのに、カーテンを閉めてしまいましたね。皇太子の晴れ姿もこの後だと言うのに」
 ローレル様の言うように、まだパレードは続いているのに、ブルーレ伯爵令息は馬車のカーテンを閉めてしまった。
 首を傾げた私の耳に、さらに大きくなった人々の歓声が並みのように届いた。
 歓声の波は、次第にまとまり言葉となって民衆の心を一つに束ねるようだ。
「シェミリオール殿下バンザーイ、シェミリオール殿下バンザーイ」
 殿下が姿を現したようだ。
「ああ、ここからじゃまだ見えないわね」
 ローレル様が乗り出すように窓の外を見ている。
「あ、ほら、見えたわ!あれよ!ほら、リリー様」
 ローレル様に言われて窓の外に目を向ける。