稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「私ね、背が高いの。それがコンプレックスで。かかとのある靴が怖くて履けないのよ。ふふ、背が高いと可愛げがないっ、女じゃないみたいだと、そういう固定概念に私自身が縛られてるの」

「ローレル様!身長なんて関係ないですっ!」
 興奮気味にローレル様の手をとり立ち上がった。
「あ、いたっ」
 馬車の中だということを忘れるくらいの勢いに、ローレル様がびっくりしている。
「リリー様大丈夫?」
「平気です」
 馬車の天井にも壁にも上質なクッションが張り巡らされていて、あまり痛くなかった。これはいい。もし、馬車で事故が起きた時にある程度怪我を防ぐことができるんじゃないだろうか?
 って、違う、それより今は。
「ローレル様、女性らしさに身長なんて関係ありませんっ」
 エミリーの姿を思い浮かべる。
 背は高くて、肩幅も広い。手もごつごつしているけれど、それでもエミリーは飛び切り可愛くて女性らしい。
 誰よりも可愛らしい女性だ。
「そうかしら……」
 ローレル様が言葉を濁す。
「はいっ!絶対そうです!身長がとかそんなことでしか女性を評価できないなんて、ちゃんと見てないんです。自分の都合のよい女性を探しているだけで、人として見てないんです。女性らしさは、見た目じゃないです」
 ローレル様が私の言葉をじっと聞いてくれている。
「だって、女性らしくない中身だとじゃじゃ馬と今度は言われるんですよ?」
「あっは。確かにそうね。自分にとって都合の良い……扱いやすい女を求めているというのは正解かもしれないわね。リリー様覚えていらっしゃいますか?ブルーレ伯爵令息。彼に絡まれていたでしょう?」
 ブルーレ伯爵令息?そう言えば、お父様にお名前を伝えると言って忘れてた人がそんな名前だったかしらね?