稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 いや、どこで誰がファッションリーダーって呼んでいるんだろう。ろくすっぽ舞踏会にも姿を現さないのに……。
 公爵家が利用している仕立屋かな?確かローレル様も利用したみたいだし。
「いいですわね!スカートの下に隠れてしまうんですもの。おしりにクッション、素敵なアイデアですわ!」
 え?素敵、かな?
「おばあ様なんか、おしりの肉が薄くなってしまったから、教会の木の椅子に座るのが辛いと。クッションを持って行けばいいと何度も言っているんだけれど……他の方がそのまま座っているのだからと」
 ふぅと小さくローレル様が息を吐きだした。
「ローレル様はおばあ様思いなのね。それに、おばあ様もとても周りの方に気を使える素敵な方なのね」
 ほんの小さなエピソードだけれどそれだけで人柄が分かるようだ。

「あー、リリー様は本当にほめ上手すぎ。おばあ様は、年寄りだと思われたくないだけよ」
 くすくすとローレル様が笑った。おばあ様と仲良しなんだろう。
「ふふ、でも、ドレスの下のおしりのところにクッションは本当にいいアイデアね。学園も教室の椅子は全て木製だと聞いていますし。きっと長時間の授業でおしりが痛くなっていた人もいますわ」
「あら?学園は制服ですわよね?流石に制服のスカートの下にクッションは……」
「あっ!確かに!」
 二人で顔を合わせてくすくすと笑っていると、馬車の外が一層騒がしくなった。
「始まったようだわ」
 窓を覆っていたカーテンをあげ、外がよく見えるように開く。
 パレード用だろうか。華やかな装飾を付けられた馬にまたがった騎兵が、先頭を歩いている。
 戦争なんて初めてのことだから、出陣というのがどのような感じなのかは知らないので。読んだことのある本にも出陣式が行われた程度の記述しか無かった。