稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 私ができること?私がしなければならないこと?
 ローレル様の言葉に、心の中がグルグルと渦を巻いている。
 どうせ私なんて何の役にも立たない人間で……お父様やお兄様は愛してくださるけれど、他の誰かに必要とされることもなくて……。
 エイミーだけはそうじゃなくてと思ったけれど、違うんだ。
 私は誰かに必要とされるような努力もしてこなかった。公爵令嬢としての役割なんて、できるわけないと何もしてこなかった。
 アレルギーがあっても、できることはあったんじゃない?男性と距離を保てばいいのだから。
「ごめんなさい、リリー様。説教めいたこと言ってしまったわね。私の悪い癖なの。つい、その、心配しすぎて口うるさく言ってしまうのよ。だから、男性に可愛げがないと言われるのよね。私といると、教師と一緒にいるようだって」
 事情気味にローレル様が笑った。
「でも、それは相手のための言葉ですよね?間違った方へと進まないように、言ってあげられるのはすごいことだと思いますっ!」
 可愛げが無いと言われようと、間違ったことを正そうとすることはきっと勇気もいることだ。
 でも、もし人の上に立つ立場の者が間違った行動をし、誰もそれを諫めなければ大変なことになってしまう。
 ローレル様のような方を妻に迎える領地は、よく治められるんじゃないのかなぁ。
 あ、そういえば、皇太子妃になろうと思っていらっしゃったのよね?
 うん。
 ローレル様のような方が王妃になれば、この国も安泰かもしれない。応援したいな。とはいえ、応援の仕方が思いつかないけれど。
「はぁ、もう!リリー様可愛すぎる!こんなふうに、裏表なく褒められたらメロメロになるしかないわ。ああ、リリー様みたいな妹が欲しい!」
「わ、私も、ローレル様みたいなお姉様が欲しいですっ」
 ローレル様と手を取り合ってぎゅっと握り合う。