稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「ふふ、アンナやハンナがいつも、新しいドレスが買えないから工夫しているのを見ていたから出た言葉よ。まさか公爵令嬢に対して言う言葉ではありませんでしたね」
「わ、私っ!ローレル様が私のことを思って言葉をかけてくれたということが分かってとても嬉しかったんですっ!」
 ローレル様がふっと笑って私の鼻をつんっとつついた。
「こんな可愛らしい顔で、私を幸せな気持ちにさせてくれるのに、私なんかなんて思わなくていいのよ?」
「え?あの、わ、私……」
 私が嬉しかったって言っただけなのに。
「リリー様が、何が原因で私なんかと思っているのかはわかりませんが……。私なんかとうじうじとしている時間があるのならば、原因を取り除努力をするべきだと私は思うわ」
 努力……しても、男性アレルギーがどうにかなるわけではない。
 そう思ったのが私の顔に出たのか、ローレル様が言葉を続けた。
「だけれど、世の中には、例えば生まれだとか……努力ではどうにもならないこともあるわよね」
 ああ、確かに。男性アレルギー以外でも、どうせ私は男爵家の生まれだしとか、どうせ俺は三男だしとか、努力しても変えられないことは色々とある。赤毛に悩む主人公の物語もあったな。どうせ私は美しい金の髪を持たない……というような表現があったような。
「だからといって、どうせ私なんかと言って何も努力をしないのは違うと思うのよ。努力でどうにでもなることは多いわ。自分ができることを全て放棄するなんて、おかしなことでしょう?」
 頭をガーンと殴られたような気持ちになった。

 どうせ男性アレルギーがあるからと……。私は、全てを捨てて修道院へ行こうとしていた。
「ああ、私たち貴族令嬢であれば、自分ができること以外に自分がしなければならないこと……もあるわね。……はぁ、投げ出したいこともあるわね、流石に……」
 ローレル様が小さく息を吐きだした。