稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 明らかに、国の規模が違う。元々我が国の半分ほどしかなかった北の国が3つに分かれたのだ。サ国は我が国の5分の一以下の小さな国だ。
 面積的にも国力的にも……。
 お父様が小さくため息をついた。
「どうやら、シ国に知略に長けた者がおるようでな、サ国はそそのかされたようなのだ。我が国は、北の領土はさほど重用ししていないだとか、戦争を長く経験していないため兵力に劣るだとか、王都から離れた北の領土へ兵を派遣してまで守ろうとしないだとか。ああそうだな、北の領土を治める領主が、昔王妃の恋人で陛下が嫌っているという噂まであるようだ」
 何それ。よくもまぁ、そんなでたらめばかり並べたわね。シ国もシ国だけど、それを信じるサ国もどうかしてるわ。
 と、私が呆れた顔をしたからだろう。
 お父様がさらに続けた。
「サ国が我が国にコテンパンにやられて疲弊しているところをシ国は狙うという計画なんだろう」
 漁夫の利狙いね。
 それにしても迷惑な!
「デタラメだと、騙されているのだとサ国に伝えればいいのではないですか?」
 お父様が苦笑いした。

「それが、裏目に出た」
 裏目?そうよね。お父様が手をこまねいているわけないものね。
「勝つ自信がないから、必死に戦争を止めようとしているのだ、準備をされるまえに早く攻め入るべきだと、サ国は乗せられた」
 あー、あー……。
「もう、戦争は避けられない、と言うことなのですね……」
 外交的な手は、すでに尽くしているのだろう。……お父様がずっと忙しくしていたのもそれが理由に違いない。
 サ国を治める人間は、シ国の手の者の言葉を妄信して、こちらがどう動こうとそれを戦争へとつなげる理由にしてしまうということ……。
 お父様が席を立ち、私の隣に椅子を置いてそこに座った。
「大丈夫だよ、リリーシェンヌ。……力の差は圧倒的だ」