稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 きっと、エミリーの刺繍の腕が上がるのもすぐよ。ふふ。

 次は簡単な刺繍の図案を持って行こうかしら?
 ああそうだ。ローレル様たちには助けてもらったんだわ。何かお礼をしたいけれど、何がいいだろう。
 刺繍したハンカチなんて邪魔になるかしら?……あら?ローレル様も頭文字はRで、私と同じね。
 ううん、ハンカチよりももう少し特別なものがいいわよね。……あ、ブーケ・ド・コサージュ。あれならまだあまり出回っていない分、特別感があるかも。でも、ドレスと違う布で作った物は使い道が難しいかしら?
 んーと首をひねる。
「そういえば、リリーシェンヌお嬢様、仕立屋は次はいつ来ていただくおつもりですか?」
 メイが、ドレスをクローゼットに片付けながら尋ねてきた。メイが仕立屋が来ることを気にするなんて初めてのことだ。
「そうねぇ、ドレスは新しい物は必要ないですし……」
 舞踏会へは、また同じオレンジのドレスで、コサージュだけを付け替えて行くつもりだ。
 特に、作ってもらいたい物も今はないし。動物の刺繍を施したデザインのドレスが出来上がったら向こうから連絡があるんじゃないかな。その前に裁縫セットのもう少し可愛くしたものが出来たら来るかしら?
 メイががっかりした様子を見せた。
「何?もしかして用事があった?」
 侍女であるメイが仕立屋に用事があるとも思えないが一応尋ねてみた。
「いえ、ちょっと聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと?」
「ええ、ブーケ・ド・コサージュのことで……その、ドレス用ではない物も売り出す予定があるのか……と」
 ドレス用じゃないもの?
 ああそうか。私たち貴族は普段からドレスを来ているけれど、そうでなければあまりドレスを着る機会はないものね。
 ドレス用じゃないもの……普段着……には流石に使わないとしても、ちょっとオシャレをしたときに使えるものっていうことかな?