稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「……エミリー、私、さっき……会場で意識を失いそうになって……アレルギーが酷く出てしまって……」
「だ、大丈夫なの?」
「少し休んだから大丈夫だけれど……それをお兄様が見ていて……辛かったらもう舞踏会に参加しなくていいって……お父様にも話をするって……お父様は私が倒れたって聞いたら……きっと、もう舞踏会に行かなくていいと……そうしたら、エミリーに……会えなくなっちゃう……」
 もう参加しなくていいというお父様に、いいえ絶対に参加するわと強く言っても……友達ならば家に呼べばいいというだろう。婚約者を探したいと言っても、兄の友人として招いた人と少しずつアレルギーが出るか確認すればいいとか、何か別の方法を提案されるかもしれない。
 もとはと言えば、お父様が行きなさいと言ったことで舞踏会へと足を運んだんだもの。お父様が行かなくていいと言えば……。
 エミリーの両腕が私の背中に回った。
 エミリーの鍛えられた胸に、顔をうずめる。
 この間と同じ高い香木の匂いに包まれる。

「ねぇ、リリー……聞いてちょうだい……おかしなことを言っていると思うかもしれないけれど……」
 おかしなこと?
「私と、婚約しない?」
「え?エミリーと婚約?」
 驚いて体を離すとエミリーが真剣な目をして私を見た。
「ええ。婚約者ということなら、今よりももっと、自由に会うことができるようになるでしょう?一緒にいても怪しまれないし、二人きりになりたいというのを誰も止めないわ」
「で、でも、エミリーは嫌じゃないの?」
 エミリーが首を傾げた。
「何が?」
「だって、私の前でまで、男のふりをしなくちゃいけなくなっちゃうの……辛くないの?」
 エミリーがエミリオの顔を見せる。
「リリー、僕のことカッコいいって言わせてみせるよ。リリーのかわいいと言う言葉もカッコいいという言葉も、僕が独り占めするから」