稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「う、嘘じゃないわ。ロバート様からこれはいただいたものだもの。私は、親切で……リリーシェンヌ様の代わりに……」
 お兄様が頼んだのかしら?
 まぁどちらでもいいわ。私があまり社交界に顔を出さないのも事実だし。早くに流行してくれたほうが、男性用ブーケ・ド・コサージュの定着も早くなるし。素直に、ありがたいことだ。
 息ぐるしさも収まった。
「ありがとう、あの、外の空気を吸ってくるわね。ローレル様にもお礼を伝えて置いて」
 体調がかなり回復したところで、皆の目が二人に集まっている好きにこの場を離れることにした。
 また男性に囲まれて酷いアレルギーが出ても困る。
 目立たないように移動して窓から外にでたところで腕をつかまれて、人目のないところに引き込まれる。

「お兄様っ」
「リリー……すぐに助けに行けなくて済まなかった」
 お兄様が苦しそうな表情を見せる。
「あんなに酷い発作が出ているのは久しぶりに見たよ……成長したら軽くなるんじゃないかなんて甘い話だったんだな……」
 年々男性との接触を避けて生活していたから、確かにあれほどのアレルギーが出ることはここ数年なかった。
「あんな苦しい思いをしてまでも婚約者を探す必要なんてないんだ。僕が父に話してやる。だから、もう舞踏会に参加しなくてもいいよ。大丈夫、必ず説得してみせるから」
 え?
「いえ、あの、お兄様、私は別に……」
 お兄様が下を向いた。
「すまない……エカテリーゼが……すまない」
 お兄様がそのまま深く頭を下げた。
「リリー……お前のことを仮病だとか嘘つきだとか……」
「いえ、男性アレルギーのことをご存知ないのですから……」
 そうか。あの場の近くにお兄様はいて聞いていたのか。
 私が公爵令嬢だと内緒にしてほしいというのでギリギリまで様子を見ていてくださったのかな。ローレル様が現れなければお兄様が助けてくれたのだろう。