上の仕事着を手に取り、ふとほつれを見つけた。

(また直さないとな…)

そんなことを思いながら寒々しく着替え、大事に枕の下に隠してある鍵束を持ち出した。

薄汚れた小さなテントから外へ出てみるとまだ日は出ていなかった。グウっと長い伸びとあくびをし、冷たい春の空気を吸い込んだ。

今は重々しく招かねざる客人らが乗った馬車へと向かった。

この重々しい感情は一体なんであろう、仕事に対する疲れではない気がする…。彼らの"終演"の姿を見ることが辛いのか…?

今はまだ、わからなかった。