なにか事故に巻き込まれていないだろうか。心配になった大滝はあちこち探してみたが、店舗にもスタッフルームにも屋上にもいない。大滝は安見が何か関係しているのか、と思った。いないのだから当然である。肉への想いに憑りつかれた時のように、これもまたバイトテロなのではないか。

 しかし、大滝の推測は一から十まで間違っていた。
 岩野と同じタイミングで大をしていた安見は、恥ずかしくて一時出てこられなくなっていたのだ。安見はこれでもかというほど尻を拭き、平然と二人に合流した。


「お前どこいたんだよ」

「売り場にいましたよ」

「探したんだけどな」

「さあ、暗いしすれ違ったんじゃないですか」


 こんなとき、心を読むやつが周りにいなくて良かった、と安見は思う。


「ブレーカーが原因じゃないんですよね……じゃあなんなのか」