「……どこかの組の傘下に入ったとか、そういう話?」

「ただのクリーンなリサイクルショップです」

「お祖父さまも顔の広い方だけど、ついにこの時が」

「リサイクルショップです」


 すると、と占い師。


「今回はお孫さんを元に戻せばいいって話なわけね」

「まあそんなところです」


 占い師が少し残念そうな顔をしているのに、安見は気づかない。だが、
  

「すみませんね、こっちもあなた以外に頼れる人が思い当たらなかったんで」


 気づかないながらそんなことを言ったため、占い師はまたちょっとくねくねした。



「オーライ、あなたの頼みならささっと済ませる。その代わり、この後お茶でも……」


 占い師が安見にちょっかいをかけようとした、その時である。

 がしゃん、というのは椅子が倒れた音だった。振り向いた安見たちの目の前で、強面の大男は突然立ち上がり、物凄いスピードで外に駆け出した。


「脱走か!?」思わず安見は叫んだ。「ええ……『脱走』て」と占い師が妙な表情をする。


「岩野、追いかけろ」

「え? はい!」


 売り場の掃除をしていた岩野は雑巾を投げ捨て、大滝の後を追って外へ出た……かに思われたが、大滝が向かったのとは真逆に駆けて行った。