「これは」

「何か?」

「松茸なの?」

「松茸ですよ」

「異星人ではなく?」

「なんで松茸と異星人を間違えるんですか。馬鹿にしてます?」

「うん」


 だって馬鹿にもする。松茸が生きているのだ。

 どういう状況下というと、茸の形はしているのだが、軸の部分に手と足のような短い突起物があり、それがじたばた動いているのだった。


「こんなの松茸のはずない」

「本物の松茸、見たことあるんですか?」

「それは……お吸い物の松茸だけだけど」

「じゃあよく知らないんじゃないですか」

「だからってこれはないよ」


 大滝は一つを袋からつまみ上げた。松茸の四肢はやはり動いている。なんだよ。松茸の四肢って。

 微かに音がしたので、大滝はそっと耳に近づけてみた。声が小さすぎるが、どうやら歯ブラシを咥えたまま喋る人間についての文句を言っているようだった。


「なんか喋ってる」

「店長、家でやばい草吸ったりとかしてるんでしょ」

「そんなことしてないよ」