「松茸とか取れるのか?」

「取れたら取りたいですねえ」

「おれの分も欲しいなあ」


 なんつって、と思った大滝だが、安見はあっさり「いいですよ」と了承した。なんだか意外だったので、大滝はうっかり「え」と言ってしまった。


「意外って失礼じゃないです?」


 安見にしかしいつもの辛辣さはなく、にこやかに微笑んでいる。


「やだなあ、俺はいつもこんな感じじゃないですか」

「本当にそうならどれほど良かったか」


 うまくすれば自分も松茸にありつけると思うと大滝の心は躍った。そんなにおいしいもんでもないとは聞くが、金持ちのわりにお吸い物の中の細かい松茸しか食べたことがない。

 大滝は喜んでシフトを調整し、気持ちよく送り出した。安見が出勤すると、大人がこんなにはしゃぐものかというほどの大変なはしゃぎようでこれを出迎えた。


「どうだった!?」


 安見はにやりと笑って、ビニール袋を掲げた。ぎっしり茸が詰まっている。

 ただちにビニール袋を開けてもらったが、そこで大滝はふと疑問を覚えた。