「となると……知ってはいけないことを知ろうとしてしまったから、とか」


 ああ、なるほど。と大滝は一瞬納得しかける。


「でもそれだと、探偵に依頼したおれも、条件は同じのような気がする」

「確かに……そこは一応経営者だから、なんとなく大目に見てくれてる感じなんじゃないですか?」

「そうなのかなあ。その判定ってかなり雑じゃないかな」

「ま、俺も適当に言ってるだけなんで……」


 と、安見は椅子に腰かける。そして、目の前にある果物かごを見て「店長」と言った。


「どうした? ……あ」


 安見が指さした果物かごの中で、さっきまで見事な黄金色だったバナナが全て真っ黒に変色していた。