「でも一つ手に入れた情報によれば」探偵は自信なさげに言った。「ここ、昔は宗教施設だったみたいですね」

「宗教施設?」

「ええ、信者が少なすぎて相当昔に廃れたようですけど、教祖の力は本物だったらしいです」

 胡散臭いと思えばいいのか重要な情報と思えばいいのかわからなかった。そもそも情報提供者が大したことないから情報の質が低いのかな、と大滝は分析する。


「うちらが住んでるこの世とは別の世界からいろんなものを結構呼んでしまったせいで、その影響が今日まで残っている……というのは、まあ僕の想像の範囲を出ないというか、妄想です」

 じゃあ言うなよ。と大滝は思った。

 それよりも、と探偵は言う。


「あっちの……在庫置き場って、もともとは美容室なんでしたっけ」

「そうだけど」

「あそこの美容師が、客に手を出してしかも浮気をした結果ナイフで刺されて店をやめたらしいです。イメージ的にはそっちの方がやばそうですよね」

「なるほど」


 痴話喧嘩からの刃傷沙汰。ありがちで生々しい話だ。


「ヤフーニュースに載ってました」

「ヤフーニュースかよ」


 面白そうだから自分も後で読もう。
 しかし、教祖とやらの力と傷害事件と、どちらがよりすごい影響があるかと考えると……どちらも眉唾だ。


 探偵が去ったのち、大滝はこのことを安見に報告した。