「多分なんだが」と占い師。「大滝やもう一人のバイトとつるむのを、お母さんたちはあまりよく思ってないらしい」

 変な大人と仲良くすることで、岩野の心が荒み、お母さんたちの思う「誤った道」に進むことを、お母さんたちは恐れているのだった。


「余計なお世話だな」大滝はため息をついた。


 岩野はまだ泣いている。


「おそらくこれで一旦は怪現象がおさまるだろう」


「岩野は泣き止まないのか?」と大滝。


「これはマジで怖くて泣いているだけだからそのうち落ち着く」


 岩野は「えーんお母さん」と言い出した。「これ以上お母さんが来ると困るんだよ」と安見が口をふさぐ。


「じゃ、そういうことで」


 占い師は去り際、安見に名刺を渡した。


「はい?」

「な、なにか困ったことがあったら……私の携帯に連絡してくるといい」

「はあ……」


 営業か、厄介だな、と安見は思った。