「女を泣かせているというよりは、めちゃくちゃ心配されていたんだな。女の側に恋情がないわけではないようだが」


 やれやれ、と占い師は頭をかいた。


「口うるさいお母さんがいっぱいいると思うしかないんじゃないか」


 なるほど。言い得て妙だ。しかし。


「口うるさいお母さん方の影響がおれたちにまであると困るんだが」

「知らないお母さんが自分の人生に割り込んでくるとか嫌すぎでしょう」


 そもそも岩野のお母さんでもないのだが、大滝も安見もなんとかしてくれ、と口を揃える。


「とりあえず」


 占い師はマネキンに向かって腕を振り下ろす仕草をした。どす黒く得体の知れないオーラは消え、焦げたマネキンと悪臭だけが残る。