「女がらみ?」


 大滝はショックを隠せない。モテる岩野のせいでモテない自分や安見がとばっちりを食うなどとんでもないことだ。安見は「俺はモテてますけどね」と哀しい嘘をついた。現実を見るべきだ、と大滝は思った。


「しかし、こんなことが続くようでは問題だ。女というのがどこの誰だか特定しないことには、対処のしようがない」


 大滝は電話をかけた。祖父の知り合いの占い師にだ。ちなみに、大滝が家族以外の女性で連絡先を知っているのはこの占い師だけである。

 さて地方都市の占い師、大滝という名字を聴いてかそれとも極度に暇だったからか、後者の可能性が大きいが、思いのほか早く店にやってきた。

 真っ赤な外車は外に並んでいる品々と並ぶととても奇妙に、禍々しく見える。いったい占いでいくら巻き上げて、こんな車を乗り回しているのだろう。