「センスが無いとかの問題じゃないです。目的はなんなんですか。俺への嫌がらせですか」

「すまん。そんなつもりはない」


 ポップや電飾、スパンコールをつけて、ハイテンションな感じに彩ってみただけなのだ。


「禍々しさが増してるじゃないですか」

「すまん……」


 装飾を外してからも、安見は前の方がまだましだったとしつこく言う。じゃあお前が考えてみろよと大滝は思った。すると安見、「嫌ですよ。そんなのバイトが考えることじゃないでしょう」と立場を利用して拒絶した。

 祖父のつてを頼るしかないかと大滝は電話帳を探すが、鬼の面コーナーをいい感じにしてくれそうな人はこの中の誰だろうか。


「ていうか、そもそも鬼の面多すぎじゃないですか? この辺鬼有名でしたっけ」

「いや、そんなことはないと思う」

「ですよね」


 二人は互いに、小学校の社会科の時間を思い出していた。小学校で習ったこの辺で有名なものと言えば、海産物。以上だ。