「今日は月がでかいらしいって聞いたけど、まさかこれのことだったのかなあ」


 大滝が言うと、「そういやありましたねそんな話」と安見も言う。「ネットニュースとかで見たんだったかな」


 岩野も、「オレもそうだっていうから出てきてみたんですけど」と頭を掻いた。


 まさかこんなことになるとは思わないから、誰も正確な話の出どころは覚えていなかった。もしかしてテレビでなにかやっていたのだったか、とスタッフルームに戻った三人は今どきなかなかみない砂嵐の画面を見ることとなった。


「妙だな」大滝は首を傾げた。

「放っときましょうよ。あんなわけのわからないものは時間が解決してくれるのを待つしかないですって」

「そうかもなあ。しかし、あんなのがあっちゃあ気になってしかたない」

「大丈夫、そのうち景色としか思えなくなりますから」