レプリカの月がでかすぎて、本物の月がどこにあるかもわからない。そもそもこれは本当に月のレプリカなのか。エイリアンの卵とかだったらどうしたらいいんだ。

 大滝はスマホを取り出し、電話帳を検索した。大滝の電話帳は元々は祖父の知り合いである怪しい連中で埋め尽くされていた。

 もう適当に連絡してみようかな、どうせ誰にもどうにもできない気がするし。と、大滝は目をつぶってスマホをフリックし、適当な番号に電話をかけた。さてどこに繋がるか……と思ってみたが、どこにも繋がらない。おかしいなおかしいなと思ってスマホを確認したところ、圏外になっていた。いくらなんでもこんなところでスマホが圏外になるなんて、今まではありえなかったことだ。念のため安見と岩野のスマホも確認したが、両者圏外だった。


「これは困った」

「少し離れればかかるんじゃないですか?」


 安見はそう言ったし、そうかもな、と大滝も思ったが誰も動こうとはしなかった。確かめるのが面倒だったからだ。


「じゃあ近づいてみる?」と大滝は言ったが、すぐに冗談だと分かった安見は「冗談よしてくださいよ」と言った。