その日は学校に着いてからもなんだか夢見心地で。
ふわふわした頭でぼんやり過ごしていた。

時折、鞄にしまっている彼からのキャンディをこっそり確認する。
宝石のようにキラキラしたキャンディが朝のことは夢ではないと私に教えてくれていた。

…そう。夢じゃない。
私は確かにあの人と会話したのだ。


「…白雪ー、なにニヤニヤしてんの?」

「え!あ、(あずさ)

休み時間、キャンディを見つめているところを、友達の梓に見つかってしまう。
私ったら、幸せにトリップしていて梓にちっとも気づかなかった。

「あ!それcottonのジュエキャンじゃん。いいなー」

「ジュエキャン?」

「ジュエリーキャンディ。今、流行ってんだよ。cottonって店で売ってんの。知らない?
えーと、確か○○駅の近くにあってさ、一度行きたいと思ってたんだ」

梓はいつも彼が降りる駅の名前を出した。
それだけで胸がドキッと高鳴る。


「キレイだよねー。白雪、買ったの?」

「ううん。もらった」

「誰に?てか、白雪なんか顔赤くね?あやしー」

「べ、別に!あやしくないよー。普通です」

嘘。
自分でも顔が熱いのがわかる。